スポンサーリンク
ーーーー一日の終わりに、その日がこの上なく幸せだったと思える毎日を紡いでいきたい
ーーーー

ゲストプロフィール
益田耕佑(マスダコウスケ)
2001年に大阪で生まれる。東京に引っ越し地元の公立小学校を卒業後、東京大学附属中等教育学校(中学・高校)に進学。高校卒業後は富山大学都市デザイン学部都市・交通デザイン学科に進学し、都市計画やコミュニティ形成について学ぶ。また大学入学時から学内外の様々な活動に参加し、現在は富山大学の学生向けのマッチングサービスを開発するほか、高校生のキャリア支援事業にも携わる。
ーー小学校時代までを教えてください。

家族で北海道を訪れた際の写真です!
2001年に大阪で生まれ、東京で育ちました。基本的には自由に育ててもらいましたね。ゲームで遊ぶことはなく、とにかく友達と外で遊ぶのが好きな元気な幼少期を送っていたと思います。これが今の都会人っぽくなく、自然と人が好きな性格につながっているのかもしれません。また、なにか教えられるときもただ事実を突きつけるのではなく、「なぜそう考えるのか」といったことを子どもでも分かるように丁寧に説明してくれた両親の教育方針も今の性格に繋がっていると思います。
両親は食に対するこだわりが強く、私にも食品添加物の多いものをできるだけ摂取しないようにしてくれました。これは色々な人に驚かれるのですが、私はこれまでの人生でマクドナルドのハンバーガーを1度も食べたことがありません。また私は生まれつき読み書き障害(ディスレクシア)を抱えており、これを早期に発見し、私がなかなか漢字を覚えられないことを叱ったりせずに自分に合った形で学んでいくサポートをしてくれたのはありがたかったです。
保育園に通っていた時から女の子が周りに多い環境で育ってきたこともあり、あまり女性とコミュニケーションをとることに苦労しませんでしたね。習い事はアトリエ教室と水泳を小6まで続けていました。ですが性格上一つのことに打ち込むタイプではなく、野球やサッカーのクラブチームに入ってスキルアップを目指すことはありませんでした。
ーー高校時代のことを教えてください。

生徒会活動にて。他のメンバー、先生と議論中です。
中学高校は東京大学教育学部附属中等教育学校に進学しました。座学中心の公立中学に行くと障害のことでなじみづらくなる可能性があった一方、東大附属ではフィールドワークやインタビュー調査など実践的な学びが多く、自分に合っているだろうというのが進学の決め手です。
授業の中には校庭や裏庭で行うものや、生徒主体で授業を進めたりと一風変わっていました。また、私の中高の特徴の一つに研究活動があります。これは中高6年間でプログラム化されているもので、1,2年次にリサーチや地域研究の方法論を学び、3,4年次に2学年合同での小グループに分かれての課題研究、5,6年生では一人一つ課題を設定して卒業研究を行い、担当教員の指導の下、16000字以上の論文を書き上げました。私は電力や自然エネルギーについて興味があり、電力自由化における消費者の意識について研究しました。
中2から生徒会活動にも参加していましたね。自分は他者貢献の気持ちがどちらかと言えば強い方で、同じような考えを持つ仲間とどのような学校にしていきたいかなどを語り合っていました。また生徒会長を務めた経験は、授業だけでは生まれない先生方との深い関係性を築くことにつながったと思います。私はこの生徒会活動で「仕事を任せてもらうこと、信頼してもらうこと」を経験し、コミュニケーション能力を学べたのかなと思います。

瀬戸内海の無人島にシーカヤックでキャンプに行きました!
課外活動ではシーカヤックのインストラクターのサポートに力を入れていました。両親がアウトドア好きで、私も幼少期からカヌー体験はしており元々興味がありました。また東京五輪のマイナースポーツの選手育成のプログラムがきっかけで、本格的に地元の大田区でカヌー教室のサポートをすることになりました。普段は周辺住民の方に体験会の提供などをするほか、夏休みには伊豆半島に行きツーリングをして、シュノーケルリングや洞窟体験なども行いました。瀬戸内にある無人島でキャンプをしたことも思い出の一つです。
ーー大学はどのようにして選びましたか?

スポンサーリンク
環水公園と立山連峰(富山県)を臨む
大学は自分の興味分野で決めました。どちらかといえば理系分野に興味がありましたが、リベラルアーツ系や文理融合の学問も気になっていました。全国の大学を調べていくうちに、やはり自然や地域についての想いが強いと感じ、理系でありながらもコミュニティについても学べる大学を考えたときに「富山大学しかない」という結論に至りました。進路選択の指標でよく用いられる偏差値については、まったく気にしませんでしたね。何に興味がありどのような道を選択するのかを考えることが大事というのが私と両親との共通認識でした。受験学力や、中高6年間の経験、自分自身の性格を考えた際に、明らかに総合型選抜向きであると考え、無事第1志望の富山大学都市デザイン学部にAO入試で合格することができました。どのようにすれば自分の経験や考えを伝えることができるかよく考えながら自分自身について詳しく分析をし、面接やグループディスカッション、プレゼンテーションなどの選考を通過できたと思っています。
ーー大学生活では何をなさっていますか?

学部のプロジェクトの一環で、まちおこしのワークショップをした際の写真です!
2020年4月に富山大学に入学しましたが、コロナウイルスの流行により最初は大学にはほとんど行けませんでした。ですが一人で近くの山や海に行ったりそれなりに楽しく過ごしていました。大学に行けるようになってからは様々な活動を始めましたが、その原点にあたるのがUD(University Development)Matesという大学教育の改善を目指す団体での学生委員としての活動です。1年生の前期に履修した一般教養の授業の教授が力を入れて活動されていて、学生の立場から大学や地域の環境を改善していくにはどうしたらいいかということを考えるきっかけになりました。機会提供という意味でも、UDはその後の活動の幅を広げる鍵になったと感じています。
1年の秋からは、富山市が運営するコワーキングスペース「Sketch Lab」の学生研究員になり、地域課題の解決を目指すたくさんの仲間と出会うことができました。さらに、富山のガス会社が運営するインキュベーション施設「HATCH」も利用させていただいています。この会社主催のビジネスコンテストに参加したことがその後の富山での活動をさらに広げるきっかけとなりました。このコンテストでは富山大学の学生のマッチングサービスを提案し、多くのピボットを繰り返したのち、最近から富山大生に実際に使ってもらえるようになりました。
このインキュベーション施設「HATCH」で富山の教育コンサルのベンチャー企業の社長と知り合い、その方のもとで現在は高校生向けのキャリア支援事業「PAddle」も行っています。富山の教育の現状を少しでも変えたいと思ったんです。高校生には視野を広げて自分の意志で進路選択をしてほしい。私たちは富山を中心に全国の高校生に「自分のことを本気で話せる場」を提供しています。多くの高校生は自分の好きなこと、話したいことはあっても発信する場所があまりありません。ですがもし本気で話す環境があれば自分でも見えていなかった興味分野や強みに気づくことができると思うのです。このコミュニティに属する全国の高校生と語り合い対話することが、彼らの進路選択の一助となればと思っています。
やはりこれらの活動は、自分自身の根底にあり、大切にしている「自然と人、人と人のつながり」が大きいと思います。お互いがどのような影響を与え合っているか。どうすれば共存共栄できるのか。これが長いスパンで見たときの私のテーマですね。
ーー今後の大学生活では何をしていきたいですか?
私は各学年ごとに、個人的な目標のようなものを定めています。1年次は「富山を知る」、2年次は「知ったものを広げていく」とテーマを設定してきました。来年は「広げたものを収束させ、深めていく」ことを目標にしたいと思っています。将来的に就職するにしろ、起業するにしろ、その他の選択肢をとるにしろ自分が取り組んできたもの、強みを明確にできる1年にしたいですね。4年次については未定ですが、深めたものの中にあるテーマになると思います。
このように目標を設定するようになったのは、両親の影響だと思います。幼少期から「なぜ」を重視しながら成長してきたこと、そのなかで人とのコミュニケーションを大事にしてきたこと、そして自分の進路を自分で決めるように言われたことが大きいですね。
ーーさらにその先の進路について考えていることは何でしょうか?また、将来の夢はありますか?
これまで東京と富山で過ごしてみて、やはり自分は地方の時間がゆっくり流れている場所のほうが相性が良いとわかったので、東京や大阪といった都心部で生活することはないと思います。新潟に本社を置く、とあるアウトドア系の企業の「人生に、野遊びを。」という自然を取り入れながら生活するという理念にとても共感しているので新潟も一つの候補ですが、具体的にはまだ決まっていません。
私が大切にしている目標に「一日の終わりに、その日がこの上なく幸せだったと思える毎日を紡いでいく。」というものがあります。そして、その幸せを家族や友人といった身近な人におすそ分けしていく、そんな人生にしていきたいと思っています。
ーーこれまでの人生でやってよかったこと、やっておけばよかったことはありますか?また進路選択に悩んでいる読者に向けてアドバイスをお願いします。
海外留学をしたりもっと地域交流をしたり、もっと対外的になっておけばよかったかなとは思います。ですが今までの人生に点数をつけると95点くらいとれていると思えるポジティブな人間なので、これまでのことは基本やっておいて良かったなと思っています。経験はそれぞれが複雑につながって影響を与えあっているので、優劣を付けるのは難しいですね。
アドバイスとしては、今できること、今しかできないことをやってほしいですね。これらについて考えること自体が意味のあることですし、進路を決めるときにも役立ちます。
ーー益田さんにとって大学とは?
学びを深める場所です。ただ大卒の肩書を手に入れるのでなく、自分のやりたいこと、極めたいものがある人が行く場所なのかなと思います。正直今の大学進学率は高すぎる気もしますし、なんとなくで大学に行き貴重な4年間を無駄にするのは良くないと思います。
ーー最後に、益田さんにとって人生とは?

高校時代の生徒会メンバーとともに。お気に入りの写真です!
選択の集合体、という表現が良いのかもしれません。今の自分はたくさんの選択を経てたどり着いた大きな木の枝の先にいて、今後も数えきれない選択をしていくと思いますが、その選択を最終ゴールを見据えて戦略的に組んでいくことが人生なのかなと思います。
この記事を読んで皆さんはどう感じましたか?
益田さんは人と自然とのつながり、そして人と人とのつながりをとても大切にされていることが伝わってきました。自分の将来をどうしていきたいか、そのためにはどのような選択をとるのが最適かを、常に自分自身で考えていくことの大切さを、インタビューを通して改めて感じました。
コメントする