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ーーーー幼いころから小説に人生をかけてきた吉川さんの、小説を通して得てきた考え方とはーーーー

ゲストプロフィール

吉川結衣(ヨシカワユイ)
岐阜県大垣市出身。小学3年時より小説を書き始める。地元の小、中学校を卒業し、県内の県立大垣北高校へ進学。高校在学中の2018年に第一回文芸社文庫NEO小説大賞にて大賞を受賞。現在は愛知淑徳大学創造表現学部に進学し、本業である学業にも励んでいるほか小説執筆活動にも励んでいる。著書に『あかね色の空に夢をみる』、『放送室はタイムマシンにならない』がある。

ーー高校入学までを教えてください

音楽サークルのライブでギターを弾くスミスさん。観客のいるライブに出演するほどの腕前だそう。

岐阜県大垣市で生まれました。性格はいわゆる泣き虫でしたね。お気に入りの傘が壊れたことでしばらく落ち込んだりもするような幼少期でした。小学3年生の時に初めて小説を書き始めました。それまでも自由帳にものを書くことが好きだったのでそのことも影響していたかもしれません。小学5年生の時に、「小説家になろう!」と決意しました。小学生の時は勉強は出来た方でした。あまり外遊びが好きではなかったので(笑)。

中学校に入学するにあたって合唱部に入部しました。部員が多い時で50人在籍しているなど、公立中学の一合唱部としては比較的活発だったのかもしれません。合唱部の活動には私も熱心に取り組んでいました。中学時代も小説への熱は落ちず、勉強するふりをして大学ノートにひたすら小説を書いていました。小説の賞レースに初めて応募したのもこのころでしたね。このころは周囲にも、「自分は小説家になる!」という事を公言してしまっていたので、後戻りは出来ないなという意識がすでにあったんじゃないかなと思います。今思えば、自分の夢を周りに公言することによって自分をいい意味で追い込んでいたのかもしれないですね。

高校を選ぶにあたって、県内で文芸部がある高校を調べたところ、身近には大垣北高校しかないという事が判明しました。周辺地域では比較的入学することが難しい高校だったという事でさすがに勉強を頑張って無事入学することが出来ました。卒業生には著名な小説家でおられる、朝井リョウさんや中村航さんらもいらっしゃるという点も、この高校に入学したいと頑張れる原動力の一つだったかもしれません。

ーー高校時代にはどのような活動をしていましたか

音楽サークルのライブでギターを弾くスミスさん。観客のいるライブに出演するほどの腕前だそう。

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高校時代は先述のように文芸部に入部して活動をしていました。週二回の活動があったのですが、締め切りまでに作品を仕上げて提出すればよかったので比較的自由に活動をしていました。私の場合は、作品を作る際まず変わり種のタイトルを考えて、そのタイトルに見合うようにストーリーを仕上げ、オチまで考える、というやり方を採用していましたね。この方が自分のことを追い込めるんですよ(笑)。とにかく小説中心の生活を送っていましたね。休み時間もほとんど読書に費やしました。小説を書いていてつらくなったことはたくさんありますが、辞めようと思ったことはなかったです。

高校時代は仲の良い友人がいて、その子の友人数人とつるむくらいの交友関係でしたね。勉強も小学生の時ほど得意ではありませんでした。ですが、古典の授業は好きでしたね。学んだ題材を小説に登場させたこともあります。古典って本当にわかりにくい文章がまれにあらわれたりするんですよ。そのような文章を読むたびに、自分はわかりやすい文章を書きたいものだという感情を持ちましたね。一見小説に必要なさそうな事象でも、世の中に存在するものは小説のネタになりうるなと思い、いろいろなところにアンテナは張っていました。

こんな形で小説漬けの生活を送っていたのですが、高校2年の春に文芸社文庫NEO小説大賞を受賞しました。もともと受賞した作品はそのために書き上げたものではなく、長いスパンで書いていたものだったのですが、応募してみた結果受賞することが出来ました。受賞した際は、まさか自分の事だとは思わなかったのでものすごく驚きましたね(笑)。ですが、やはり自分の小説創作活動が誰かに認められたと感じて、非常にうれしい気持ちになりました。誰かに認められる、という経験があったことも、今日まで創作活動を続けてこれた原動力の一つなのかもしれません。

ーー大学ではどのような事をされていますか

現在は、愛知淑徳大学の創造表現学部に所属し小説創作活動の他、小説以外の様々な芸術分野にも触れています。進路としてはやはり、小説にプラスにはたらくみちを考えていましたね。結果として愛知淑徳大学に進学することとなりました。小説以外の分野について学ぶことによって、小説創作にもプラスに働いていると思っています。写真や、美術、古典などの小説とは異なる分野にも、それぞれの考え方や価値観などが垣間見えます。これらの内容には、小説創作の時に使える多くのネタが存在していますし、単純に自分の人生観を構築していくうえでも有用だと感じています。でも、結局は中心には小説がいるんですよね(笑)。相変わらず小説創作は大好きで、継続していまも作品作りに取り組んでいます。

ーー今までの人生を振り返って、やってよかったこと、やっておけばよかったこと、そして読者に向けてアドバイスはありますか。

音楽サークルのライブでギターを弾くスミスさん。観客のいるライブに出演するほどの腕前だそう。

今までの人生でやってよかったことは、やはり小説にどんな時も関わり続けてきた事です。休み時間にひたすら本を読んだり、とにかく作品を書き続けてきた事が現在の私を構成していると感じています。どんなに好きなことでもたまに挫折やいやになることはあると思いますが、そのような時でも自分がこれまで好きであり続けてきたモノにたいして、向き合い続けて来たことは良かったことであると思います。

やっておけばよかったことは、小説以外のことにももう少し触れておけばよかったという事くらいですね。やはり私には小説以外にないので、逃げ道がないという不安はあります。ですが、逆に自分を追い込めるという点においてはある意味良かったのかもしれませんね(笑)。

アドバイスについては、文章を書くという事を日々行っている私ならではのアドバイスがあります。言葉は完全ではないという事です。自分の気持ちを完璧に伝える手段ではなく、人を傷つけ、誤解をうむツールであります。人に情報や自らの考え方を伝達するうえで言葉は大切なものです。しかし、同時に最も危険なものでもあります。そのことに、全ての人間が気づけばもっと優しい世界になると思うんです。

ーー将来の夢はありますか?また今後どんな人生にしたいですか?

進路としては小説家を目指していますが、それ一本で生活していくことには難しさも感じています。当面は書籍に関わる仕事をしつつ小説を書いていきたいと思っています。根底にあるモットーとして、死ぬまで小説を書くことが嫌いにならない人生を送りたいというものがあります。これまで小説が好きで生きてきた自分のことを裏切りたくはないんです。

ーー最後に、吉川さんにとって人生とは?

楽しいことより、つらくていやな事の方が多いものだと思っています。私は小説でいやな事を紛らわせていますが、人生には紛らわせることのできないほど様々な困難があると思っています。最近は、他人の死についても考えるようになりました。小説では死について扱う事も多いのですが、取り扱いながら自分の死についてだけでなく他人の死についても怖く、そして悲しいと強く感じるようになりました。好きなものがあることで100%紛らわせることが出来るわけではないですが、好きなものがあることによって救われることもあるんじゃないかなと思っています。

この記事を読んで皆さんはどう感じましたか。

吉川さんは自分が大好きなものをひたすらに向上させようと、ひと時も向き合う事を辞めずにきた結果、自分の目標を確実に達成してきました。どんなに好きなものであっても、ひと時も嫌いにならないことは難しいと思います。皆さんは、そのくらい何か一つのことに熱中して自分の人生を捧げた体験はありますか?